こんにちは。ゴールデンレトリーバーのカイザー(仮名)です。
3歳半を過ぎましたが、歩き出したら体力底なし。寒い季節は絶好調です。

カイザーをドイツ語で書くとKaiserです。
Kaiserには皇帝っていう意味があります。
そう、僕って皇帝なんです。1月下旬、公用車のタイヤがスタッドレスになりました。

それから2週間ほど経ったある日、運転担当の下僕2が
雪道走行の練習をしたいと言い出しました。……僕を道連れにする気満々で。

下僕2が最初の練習コースとして選んだのは、
「路肩にちょっと雪が残ってる」程度の国道413号、道志みちでした。
……と、ここまでが
前回のあらすじです。
ハッキリ言って、僕はドライブが苦手です。
クルマの中は、狭いし、揺れるし、すぐに熱がこもるし、ぜんぜん快適ではありません。

そんな僕が、道志みちのようなグネグネの山道をクルマで移動したら……、
1時間も経たずに酔っちゃいます。はい。

『長旅お疲れ様でした、陛下! 道の駅どうしに到着です!』

「ううう……少し吐いちゃった……」
『ああ、やっぱり車酔いしましたか……。なんとおいたわしい……。
しかしご覧ください、陛下! 雪です!』
「……こ、これは……!」

『こちらにも、駐車場を雪かきしてできたと思われる、山積みの雪です!』
「おお……」

「雪だ……」
「雪……」
「雪~~~♪」
『あー陛下、できればもう少しきれいな部分で……
ってもうどうでもいいや』

『せっかく2時間以上かけて道の駅どうしまで来たんです。少しあたりを見てまわりましょう』
「うむ」

道の駅どうし、夏季の休日はいつも満車御礼らしいのですが、この日は冬季の平日。
閑散としていました。
道の駅裏手の川を渡ったところにドッグカフェがありましたが、
冬季休業中なのか休日のみの営業なのか、この日は営業しておらず。
『そういえば私お昼食べてません……』
がっくり膝をつきうなだれる下僕2を尻目に、僕はカフェの駐車スペース(?)の雪をエンジョイ。

エンジョイ。

エンジョイ。
「ああ、僕の雪……」
『陛下、道の駅裏手に川あそび場を発見しました』
「ほぉ」

『今は川岸に雪が積もっちゃってますが、暖かくなったらここで水遊びができま……』

『
うわ~……バカ発見……』

「なにか言ったか? 下僕2よ」
『……この季節はどこの水辺へ行っても陛下の独壇場ですね~』
「うむ」

『道の駅どうし、この季節は水遊びと雪遊び、両方楽しめてお得ですね~』
「うむ」

『さて、陛下。おくつろぎのところ申し訳ありませんが、そろそろお時間です』
「む?」

『国道413号、道志みち、路肩に結構雪が積まれて道路に溶けだしてました。
あれが再凍結する前に、津久井湖まで戻りたいです』
「スタッドレスの練習なら、凍結するまでここで待つべきではないか?」
『そう言われるとその通りなんですが、
家までの所要時間を考えると、やはりそろそろ帰路につくべきかと』
「…………」
『下僕めのコーヒーブレイクも終わりましたし、クルマにお戻りください、陛下』

『陛下?』

『陛下~?』

『帰りますよ、陛下~?』