こんにちわ。ゴールデンレトリーバーのカイザー(仮名)です。
もうすぐ1歳。まだまだ育ち盛り、食べ盛りです。
カイザーをドイツ語で書くとKaiserです。
Kaiserには皇帝っていう意味があります。
そう、
僕って皇帝なんです。繰り返しますが、皇帝なんです。
なのに、こんな扱いを受けることがあります。
僕の口をしっかりつかんで放さないのは下僕1です。
下僕の分際で僕の教育係を自任し、ときどきこういうことをしてきます。
この数秒前、僕は下り坂で先を急ぎ、リードをぴーんと引っ張りました。
「ひっぱりぐせ」? 違います。急いで確かめたいことがあっただけです。
だけど下僕1はそれが気に入らなかったようです。
こうなると、下僕1は怖いんです。
ハンパなく怖いんです。きゃーーー。
急にリードを引っ張ると下僕たちは嫌がります。
下僕1だけではありません。下僕2も嫌がり、そして怒ります。
だけど怒らせると怖いのは、なんといっても下僕1です。
ハイ、ごめんなさい。引っ張っちゃダメなんですよね。
でも皇帝として、急いで確かめなければならないときってあるんです。
だから許して……。
けれど、皇帝として日々たくさんのことを学んでいく中で、僕は気づいたんです。
急に引っ張るから怒られるんです。
急に引っ張らなければいいんです。
気になるニオイを感じたときは、こうやって座りこめばいいんです。
歩いている途中、僕が急に立ち止まると、下僕はふりかえります。
「どうしたの?」と聞いてくる下僕に、僕は黙って命じます。
「この近くに気になるニオイがある。ついて参れ」と。
これなら僕は、余計な折檻に時間を奪われることなく、スムーズに公務を執り行えますし、下僕もイヤな思いをせずに済みます。
効率アップと下僕への思いやり。僕ってやっぱり、とてもいい皇帝です。
これにて一件落着。
下僕1の膝枕は今日も快適です……zzz