こんにちわ。ゴールデンレトリーバーのカイザー(仮名)です。
そろそろ1歳。まだまだ食べます、育ちます。

カイザーをドイツ語で書くとKaiserです。
Kaiserには皇帝っていう意味があります。
そう、
僕って皇帝なんです。下僕2はまだ僕の玩具整理をしています。
こうしてみると、僕の玩具ってボールばかりです。

『正確には、「壊れた玩具」がボールばかりなんです、陛下』
「ふーん。なんでだろう」
『なんででしょうねぇ』

『かじり棒とかロープとかコングとか骨とか、強く噛むことを前提とした玩具は、まだまだ健在なものが多いです』
「うんうん」
『ボールはとにかくすぐ壊れるので、お店で選ぶのに苦心しました』
「そうかそうか。それはごくろう」
カチン
「きゃーっ きゃーっ きゃーっ」「な、なんか今、子供の頃の壮絶な思い出が脳裏を過ぎったような……」
『気のせいです、陛下』
『とにかくですね、普通の犬用テニスボールとかは、すぐに壊れてしまうんですよ』
「噛むと簡単に穴が開くし、皮をむしり取るのっておもしろいからね」

『壊される分には構わないんですけど、破片を誤飲されないか心配で。
それで、ヘチマボールならいいんじゃないかと思ったんです。
……こういうやつなんですけどね』
『噛むことで歯磨き効果が期待できるし、ヘチマなら、ちょっとくらい食べちゃっても大丈夫なんじゃないかと』
「僕としては、かじって壊せるならなんだっていいんだけどね」

『ところがこれ、素材はヘチマなんですけど、ボールの形に縫い合わせてあるんですよ。
かじっているうちに、その糸がほつれて出てきちゃうんです』

「そのたびに没収されるんだよなぁ……」
『出過ぎた糸を切り落とした上で、ちゃんとお返ししてるじゃありませんか』
「下僕2、気にしすぎ」
カチン
「きゃーっ きゃーっ きゃーっ」『……これもボロボロになっちゃいましたね』

『もともとはこんな形をしていたんですけど……』
『頑丈なつくりだからそうそう壊れないだろうと思って、油断しました。
陛下があまりにおよろこびになるので、ついあげっぱなしにしてしまって』
「おもしろい玩具があると、ひとり遊びも楽しいんだよね」
『縫い目から少しずつ破られて、ついには中の小さいボールが出てきちゃって。
それで半お蔵入りになったんです』
「僕これ今でも結構好きだなぁ」
『コングウァバって言うらしいですよ。
私もこれ、良くできた玩具だと思います。
大きい方のボールを握るとホイッスルが鳴るんですが、
この音、水鳥の鳴き声によく似ていると思います。
あと、ボールについてるひらひらをはためかせると、
ひらひら同士がぶつかりあって、ぱたぱたと音がするんですけど、
これまた鳥が羽ばたく音に似ています。
陛下のような水鳥回収犬の心をくすぐる、非常に良くできた玩具なのではないかと』
「水鳥の鳴き声って滅多に聞かないからわかんないや。
でもこのぱたぱたを聞くとわくわくするね。
こいつでひっぱりっこすると、すっごく燃える!」

『いっぱいやりましたねえ、ひっぱりっこ。
これはまだまだ使えそうだし、もう少しとっておきましょうか』
「えへっえへっへっへっへっ」
