こんにちは。ゴールデンレトリーバーのカイザー(仮名)です。
3歳半になりましたが、歩き出したら体力底なし。涼しくなって絶好調です。

カイザーをドイツ語で書くとKaiserです。
Kaiserには皇帝っていう意味があります。
そう、僕って皇帝犬なんです。神奈川県は東丹沢、宮ヶ瀬湖のすぐそばに、服部牧場という観光牧場があります。

なんとこの牧場、犬入場OKらしいのです。犬の皇帝として、さっそく行ってみたいと思います。

入って早々にヤギさんがお出迎え。給餌箱に収まってご機嫌です。
そのヤギさんと同じ囲いの中に、

「……ねえ下僕、なんか白と黒のシマシマが来たんだけど、この大きすぎるイキモノはナニ?」
『……………………』
「ねえ下僕? 下僕?」
『……なんで……コレが……牧場でヤギと一緒の囲いに……?』

――こんにちは。……君、ここの犬じゃないね――
「ははははい、こここんにちは。僕、ゴールデンレトリーバーのカイザー(仮名)です。
皇帝ですがこここの土地を奪おうとか微塵も思ってませんから何卒よろしくお願いしますすすすす」
――うん、服部牧場へようこそ。ゆっくりしてってね。あ、ここの草、美味しそう……――

「……お、お身体が大きくてお強そうですね。あなた様、は、いったい何者、でいらっしゃいますか?」
――ん? 僕? 僕はね、
牛 だよ?――
「はい?」

――見ればわかるでしょ? 白と黒のツートーンカラー。どこから見ても牛でしょ?――
「………………………………………………………………
ハイ」

――まあほかにもいろんなのがいるから、見ていってよ。
そうそう、メッツゲライ・ハットリのソーセージとカサリンガのジェラート、オススメだから――
「はあ……ありがとうございます……」
自称牛のシマシマが立ち去ったあと、今度は別のイキモノと目が合いました。

「下僕よ、あれも牛か?」
『いいえ、ロバです……』
「さっきのシマシマ、体型的には牛よりロバに似てるよね?」
『そうですね……』
「……ねえ下僕、あれはウマ?」

「そうですね。ウマですね」
『さっきのシマシマ、顔の形的にはウマに似て(以下略』

「ねえ下僕、牛ってこれだよね? さっきのシマシマ、牛じゃないよね?
あれはいったい何者だったの?」
神奈川県は東丹沢、宮ヶ瀬湖のすぐそばに、服部牧場という観光牧場があります。
僕はそこで、未知との遭遇を果たしたのです。