こんにちは。ゴールデンレトリーバーのカイザー(仮名)です。
3歳半を過ぎましたが、歩き出したら体力底なし。寒い季節は絶好調です。

カイザーをドイツ語で書くとKaiserです。
Kaiserには皇帝っていう意味があります。
そう、僕って皇帝なんです。1月29日、公用車のタイヤがスタッドレスになりました。

その翌日、関東地方南部の皇帝直轄領で雪が降りました。

「スタッドレスタイヤへの交換がまにあって良かったな、運転担当の下僕2よ」
『はい、陛下。ディーラーさんに感謝です。
スタッドレスは初めてなので、あとでちょっと雪道走行の練習してきます』
「うむ、良い心がけだ。しかしまずは余の視察につきあうがよい」
『もちろんです、陛下』
「……む? あのようなところに……」
「わーい、雪原発見~」
ずりずりずり~ ずべべべべ~
「ふぅ すっきり!」
「ところで下僕2よ、今日の雪はなにやら湿っぽくないか?」
『あまり気温が下がりませんでしたからね。今降ってる雪も雨まじりです』
「ということは……」

「この雪は長持ちしないのか」
『残念ながら、2日もたてばあとかたもなく消えてしまうでしょう』
「そうなのか……つまらん……」
『陛下……』

「すまぬ、今のは忘れよ」
『陛下?』
「昨年のような大雪は、このあたりの人間にとっては災いなのであろう?」

「雪かきに追われ、通勤通学の足を乱され、慣れない雪道で事故が続発し……」

「そのような混乱に見舞われるくらいなら、関東地方南部の平野部の積雪は、この程度で良いのだ」
『陛下……』
僕は皇帝として当然のことを言ったまでですが、下僕2は目を潤ませていました。
そしてこのとき、下僕2の胸中にある固い決意が生まれたことを、
僕はまだ知る由もなかったのです……。以下次号。